新選組の魅力について


――「新選組のどこに惹かれますか?」

 ファンは、新選組のどこに惹かれるのでしょうか。記述式で回答して頂きました。
 まず、どのような単語が多く使われているか数えてみたところ、
1位 25回 「貫(く)」
2位 19回 「信念」(「信じる道」「信じるもの」含む)
3位 9回 「士道」
4位 6回 「悲」
5位 5回 「強さ」
6位 3回 「夢」
 となりました。これらを総合すると「士道に基づき信念を貫き通しながら夢を追う強さと、それがもたらす悲劇性」といったところでしょうか。…これではよく分かりません。以下、いくつかに分類しながら見ていきたいと思います。

文字の色は私が勝手にキーワードと思える語を強調しただけで、
 もともとのデータには関係ありません。
※年齢性別の下の「○年」はファン歴です。



1.生き方・信念を貫くこと


上記の集計からも、「信念」と「貫く」という語がダントツで多いことが分かります。具体的には次のような声が寄せられました。

15歳女性
1年未満
考えを貫き通して最期まで戦ったというところが、格好いいなと感じます。
13歳女性
2年
どんなに蔑まれても、自分たちの「誠」を貫いてみせたところがものすごくかっこいいです。
18歳女性
2年
最後まで侍として生きた彼らに強く惹かれました。わたしもきっと守るべき者のために戦えたらと思う。
17歳女性
2年
(主に土方さん達に言える事なのですが)誠一文字の正義を振りかざし、武士として生きようと唯一つを貫いた彼らの生き方に、凄く憧れます。 流れが変わり時代の裏側に追いやられようとしても、引き返さずその道だけを一直線に駆け抜けた強さとか、今の日本人に一番必要な物なんじゃないかなぁなんて思ったりして(笑
16歳女性
1年
剣に生きて剣に死ぬ!この生き方がかっこいいです。 やっぱりあの動乱の中で一つ信じた事を貫き通すことは難しいことだと思います。 みんなが武士の世は終わりと言っている中で最後まで剣を持ち戦い抜いた彼らにとても魅力を感じます。
14歳女性
1年未満
必死に武士道を貫こうとするところ、自分に正直に生きていることなど…とても魅力的だと思います! 現代人は自分に素直に生きていると自信を持って答えられる人が少ないのではないでしょうか?^^;私もその一人ですし… 最後まで自分の思う道を変えないというのはとても難しいと思いますが、その分とても誇りになるのではないかと。
42歳女性
28年
信念をもって熱く生き抜いたところがうらやましい。私も新撰組隊士になって土方さんのお役にたちたいです。
25歳女性
7年
自分たちの目標に向かってまっすぐに突き進むところでしょうか。脇目もふれずにまっすぐに・・・。その志の高さに惹かれます。(手段、結果はどうあれ)
28歳女性
14年
多分、共感は出来ないと思っている。あれほどの危機にも事態にも遭遇したことは無いから。惹かれるとすれば、夢や理想に向かって一途に進むその強さ

新選組の生き様、特にその「まっすぐさ」や「一途さ」にひかれるようです。
一度決めたこと、志したことをやり抜く強さ。そうしたものに共感をおぼえ、また自分もそうありたいと思うのでしょう。
また以下のように、新選組は「やればできる」ということを教えてくれる、励みになる存在でもあるようです。

26歳女性
3年
多摩の農民が、「国の為に何かをしたい、武士になってご公儀のため働きたい」という夢を持ち続け、何があっても「誠」の信念を忘れず、ついには日本中にその名を轟かせる最強武士軍団になれたというところにひかれます。。。頑張ればなんだって出来るんだ、とそして、世の情勢が変わっても最後まで屈服することなく戦い抜いた姿勢が、これぞ武士、これぞ日本男子だと思う。新撰組には現代の男性、いや人間が忘れかけている大事なものがある。
14歳男性
2年
混乱の時代だった幕末、本当に名も無い様な浪人たちが「この時代に何かしよう」と思って入隊し、働いていた。特に近藤や土方は農民の出身であるにも関わらず、幕府直参の武士となった。この事は、現代の人たちにも「やればできる」と言う事を伝えているであろうと思われる。

このほか、新選組の生き方に対する熱い思いがたくさん寄せられました。

13歳男性
2年
自分たちの意志を遂げようとするとこらがかっこよく又魅かれる部分でもある
21歳女性
4年
自分の決めた道に命賭けてるところが好きなんです。
23歳女性
8年
時代が違うということもありますが、20代や30代そこそこの人たちが日本の行く末を考え、行動し、そのためには死ぬこともじさないその姿勢に惹かれました。自分には命を賭けてまで守りたいものとか信条などないに等しいので、その点でも羨ましいと思います。とくに新撰組は常日頃から「死」と隣り合わせの生活を送っていました。敵を、時には味方を斬ることもある日常であっても一生懸命生きていた、というところに共感しました。
44歳女性
27年
(あくまでも、フィクションの世界で描かれた新選組の話ですが) 負けるとわかっている戦もしなきゃならない時がある。 いかに勝ち馬に乗るか、勝ち組に入るか、多数派について安心するかに汲々としている 現代人にはない潔さを感じる。
22歳女性
11年
いつも死地と隣り合わせなのに、人間らしさがよく出ていて隊士の個性がよく分かれているところ。「幕府が先導しなければ!」という信念よりは、「武士みたいに二本差しができる」「職業、金が欲しい」「とりあえず入ってみた」という個人的な理由の人が多数だと、否定的に見てる部分もあるが、だからこそ人間らしさが感じられるのだろうし必死に生き延びようとしたり函館まで戦い続ける隊士もいたんだと思う。新選組は「かっこいい」というより、『敗者』であり確たる信念を持たない人間の集まりだが、「かっこ悪さ」が逆に魅力だと感じる。
36歳男性
1年未満
正義は多面的なものであり、人それぞれに異なるものと思うが、自分の信じる正義に殉じた彼らは、尊敬や学びの対象ではないとしても、憧れの対象ではある。
33歳女性
24年
彼らの武士・忠義への思い、信念に向かう姿は共感すると共に現代人には失われてしまったものばかり。無いものに憧れている彼らと同じなのかもしれない。



2.若者としての共感


「彼らも自分と同じ若者であった」という親近感や共感があるようです。そうした近い存在であるからこそ、上記のような生き様にも共感をおぼえ憧れるのかもしれません。

19歳女性
2年
自分とそう歳の変わらない若者が作った集団であることに魅かれます。
19歳女性
9年
隊士の中に若い人がたくさんいたところでしょうか。自分と年が近い彼らが、命を賭して時代を動かそう、時代の軸と生きようとしたところに強く惹かれます。同時に、なぜ彼らは命懸けで戦ったのか。何のために?何が彼らをそうさせたのか?その辺りにも興味があります。自分に出来ないことをやらかした人たちですから!



3.ストーリー性・隊士それぞれの生き方・個性


新選組のもつストーリー性や、それが単一のものではなく隊士それぞれに生き方、ストーリーがあることなども魅力のひとつであるようです。

15歳女性
1年未満
はじめは本当に少ない人数で、小さな組織だったのに、しかも近藤勇は農家の出身だったのに、あそこまで大きくしたなんてすごいと思います。それも、いくつもの事件を乗り越えて。なんだか、プロ●ェクトXみたいなところに、ひかれます。
23歳女性
6年
色んな人があつまり、そこからどんどんと強くなっていくというところにいつも惹かれてしまいます。この頃、よく新撰組が漫画や小説にされていますが、その中での少しオリジナリティーが溢れた新撰組や資料の中から感じ取られる忠実な新撰組、いろいろ溢れている。そんな楽しさにもまた惹かれてしまいます。
30歳女性
10年
多くの隊士が、それぞれの人生を生きているところ。隊士の数だけ歴史がある。
18歳女性
1年未満
端から見れば非情な人斬り集団だったかも しれないけれど、実は内部にもたくさんのドラマがあって皆自分なりに懸命に生きてたんだなって思います。
21歳女性
1年未満
隊内部の微妙な関係性。切腹等のストーリーでもひとつひとつに隊士達のたくさんの思いが詰まっているので史実などもつきつめていくとどんどん面白味が増します。
23歳女性
8年
隊士ひとりひとりが異なった考え方をもっているところ。またそれが織り成すドラマの数々。


中でも特に隊士それぞれの個性やキャラクターの側面に惹かれる人も。

18歳女性
5年
ドラマみたいなストーリー。 近藤と土方の対照的な性格、そのほか隊士の個性が強いところ。
25歳女性
10年
一人一人の人間性が面白いです。活動については疑問も多いですが・・。変に取り繕わない、ストレートな性格の人が多い集団だというイメージがあるので、分かりやすくて好きです。
18歳女性
1年
隊士それぞれに個性があるところ。どの隊士中心の小説でも面白い!!
22歳女性
8年
色々なキャラクターが揃っていることだと思います。きっと小説その他の創作物の影響も大きいんだと思いますが、資料を読んだりして隊士たちのエピソードを知ると、本当に様々な人達が集まった団体なんだな〜と思います。



4.仲間


仲間同士の関係性、絆の強さもあげられていました。

15歳女性
1年
風のごとく走り去った彼らの生き様、仲間を思う精神。 すれ違いにまたすれ違い。もどかしい程の行き違い。不器用な生き方しか出来なかった彼ら。
18歳女性
6年
最後の最後まで自分の君主のために戦い、仲間の事を思い続けていた彼らに惚れました。近藤さんと土方さんの友情がステキです。土方さんが最後まで一人で戦かっていた時の「降伏などしたら、先に逝った近藤さんに顔向けできない。」という思いが最高です。
31歳女性
1年未満
大河ドラマのみしか知りませんので偏った意見ですが、皆仲良しなので
14歳女性
5年
1つの思いで集まって戦うところが素敵だったんです(第一印象)。土方の何かを犠牲にしてでも何かを得ろうとする生き方。でも、みんな生き方は違って、そんなすれ違いなどが好きです。



5.滅びの美学・悲劇性


「滅びの美学」も新選組の魅力の大きな要素でしょう。
敗者であることが重要であるようです。そうした悲劇性が、新選組のまっすぐさや頑なさをより一層ひきたて、人々をひきつけているのかもしれません。

16歳女性
1年未満
行く手をさえぎるものを次々と排除してのし上がった組織の結末の物悲しさに惹かれます。
27歳男性
4年
新撰組は「滅びの美学」がある集団だと思います。時代が大きく転換する時に、農民町民から武士になり、夢を叶えたシンデレラボーイ達が、自分達に目をかけてくれた人達や藩や幕府の為に、絶望的な戦いにも勇猛果敢に戦い続けて散っていった。と言うのはとてもカッコイイ事であると思います。現代人には真似の出来ない事ですが、「護りたいものを命がけで護る」姿は私達にも学べる事だと思います!
16歳女性
3年
時代に乗り切れなかった若者。時代のうねりに呑み込まれ、必至に足掻いた集団。主君の為に命を賭すその心意気。忠臣蔵や平家物語同様の「滅びの美学」が魅力です。
20歳女性
5年
やっぱり負けた所が強い気がする。仲間がどんどんいなくなって、負けが確実になっても信念と信条、己の存在理由や今までの人生をかけて戦ったところ。
34歳女性
15年
僅かな年月での生の輝きみたいなものがあると思う。
32歳女性
1年
生き方が不器用な人たちの集りであること。(世渡り上手な集団だったら・・・多分魅かれないでしょう。)



6.組織


新選組の組織としての魅力もあげられていました。

24歳男性
1年
新撰組の構成です。身分を問わず完全な実力主義で組織を構成していることが現代にも通じると思います。
31歳女性
1年
やはり、身分や出自にとらわれず、有能な者を優遇するという理想的な組織に憧れます。未だに(今の日本でも)かなわないことを、新選組はやっていた。なので、学歴や家柄などに結局は縛られている現代と、自分の立場を考えると、新選組は理想です。



7.その他


理由なんてない、とにかくかっこいいから!という言葉にならない思いがあります。
その他の声もここにあげておきます。

14歳女性
1年未満
とにかくかっこいいですね。本当にそれしか良いようが無いです!
18歳女性
1年未満
言葉にあらわせません、スミマセンι
24歳女性
7年
単にミーハーなだけで・・・格好いいから(爆)
13歳女性
1年
隊服とかが凄くスキですv
15歳女性
2年
名前(笑)「シンセングミ」という響きが好きです。
41歳女性
1年
シンボルマークの誠や浅葱色のだんだら、凄腕の剣士集団など、鮮烈なカッコ良さがある。
22歳女性
9年
刀と武士道
22歳女性
8年
女なので男社会に憧れてるのかもしれない。
27歳女性
13年
遠すぎず近すぎずでそれなりの解釈をもって向き合えるところ。歴史は全体的に好きなのですが余り古いと立ち入る隙が無いように感じられるようです。



8.まとめと感想


ファン一人一人にいろいろな声があり、分類するのがとても難しかったです。と言うか、分類できていません。
感想としては、まずみなさん真面目だ!と思いました。「土方さんが美形だから!」などミーハーな意見も多いかな、と思っていたので(すみません)。私は、もっともっと不真面目です…。

大河ドラマが始まる直前にやっていたNHKの特番に出演していた新選組ファンの人たちも「信念を貫くこと」をとても強調していました。確かコメンテーターとして出演していたラサール石井がその頑ななまでの「貫く」ことへのこだわりに疑問を呈していました。私もそのとき、少し疑問、というか意外、これはどういうことなんだろうな、という思いを抱きました。
「まっすぐさ」を実現できない現代社会というのがあって、だからこそそうしたまっすぐさや愚直さを端的に表している新選組に憧れるんだろうな、とも思います。何だかおもしろくもなんともない分析ですが。「まっすぐさ」へのこだわりは、流動性が増した現代社会に生きる私たちの不安の裏返しなのかもしれません(これもおもしろくないですね)。
昔も、新選組はこれほど「生き方」の側面で消費されていたのでしょうか。昔の新選組と言うと、私はもっとチャンバラや男らしさ、強さなどのイメージが強くて、少女までもが「新選組のように強く生きたい」と思うものだったのかどうか、よく分かりません。その点で、去年の大河ドラマはより「若者の生き方」に訴える描き方だったと思うのです。新選組の消費のされ方は、時代とともに変わってきたのでしょうか。それとも昔から、こうした強い「生き方」志向はあったのでしょうか。司馬遼太郎の影響も強いのかもしれません。

そのほか、グループであるということの魅力(個々の隊士のキャラクターや相互の関係性、それぞれのドラマなど…)、組織それ自体の魅力、「滅びの美学」(今年の大河ドラマ「義経」もまさにそれですね)、などなどあげるときりがありません。とにかく、新選組が好きだー!ということです。好きなことに理由なんてないのかもしれません(これを言ったらおしまいです)。